大江健三郎さんのノーベル文学賞受賞

 大江さんがノーベル文学賞を受賞したのは
 1994年のことだ

 大江さんは当時59歳
 スウェーデンの王立アカデミーは
 授賞の理由として
 “「詩的想像力により
 現実と神話が密接に凝縮された想像の世界をつくりだし
 現代における人間の様相を衝撃的に描いた」”
 としている

 そして
 “自分のつくり出した想像の世界の中で
 個人的なものを掘り下げることで
 人間に共通するものを描くのに成功した”とも
 評している

 大江さんの作品に『個人的な体験』がある
 この小説は
 生まれてきた障害児と共に生きる決意をする
 若い父親の内面を描いている

 大江さん自身のことである

 1989年の朝日新聞に
 “「はじめての子供の頭部に奇形を持つ誕生があって
 僕はかってない揺さぶられ方を経験することになった
 いくらかの教養や人間関係も
 それまでに書いた小説も
 なにひとつ支えにならないと感じた
 そこから立ちなおっていく
 いわば作業療法のようにして
 僕は
 『個人的な体験』を書いたのである”と
 その作品を書くに至った胸中を吐露している

 『飼育』『芽むしり仔撃ち』
 これらの小説が
 大江さんの作品との最初の出会いであったような
 そんな記憶がある

 その研ぎ澄まされた感性
 突っ張りたくなる気持ちを代弁するかのような作品
 己の存在を確かめたくなるような気分に
 絡まるような小説
 一時期夢中で読んだ

 『万延元年のフットボール』は
 発売されてすぐに買った
 右手に安部公房
 左手に大江健三郎である

 政治的問題でも積極的に発言する
 大江さんの姿は
 今も変わらない

 大江さんは文化勲章を辞退された
 その理由をこう説明している
 “「私は戦後民主主義者であり
 そういう自分には文化勲章はにあわない
 文化勲章が国家と結び付いた賞だからだ」”と

 「戦後民主主義者」
 今やその名は遠くに霞んでいる
 「第三極」と最近よく言われるが
 これは「戦後民主主義者」とはほど遠い

 本来なら
 今の世で「第三極」というなら
 「戦後民主主義者」の系譜を受け継ぐものが
 注目されて可笑しくない筈なのに
 どうしたことなのだろうか

 「政治的発言」なら
 いや「人間的発言」というべきか
 ノーベル文学賞の候補と噂される
 村上春樹さんも
 その発言は注目される

 来年は大江さんに次いでノーベル文学賞を
 受賞するのかも知れない
 「第三極」もどうなるか
 政治の世界からも目を離せない
 そんな気分でいる
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by hai-toku | 2012-11-05 19:38 | 時代 scrap book | Comments(0)

学生時代の同人誌のタイトルです             


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