与謝野晶子の歌

 今日も『二人で紡いだ物語』から・・

 米沢富美子さんは
 与謝野晶子を“尊敬する人物の一人”と語っている
 この本の中でも繰り返し彼女の歌を紹介している

 “「筆硯 煙草を子等は 棺に入る 名のりがたかり 我を愛できと」”
 与謝野晶子が夫の寛氏を亡くしたときに詠んだ歌という
 
 「名のりがたかり 我」
 夫が一番愛したのは この私
 お母さんなのだよ・・と
 
 名乗りを上げられないでいる
 この母 私
 この歌の激しさ 一途さ

 晶子は寛に三度恋したという
 寛その人に
 繰り返し惚れ直したと・・

 その心情が米沢さんにも通じるものがあった
 “私も今
 夫に何度目かの激しい恋をしています”と書く

 “私が骨になったとき
 二人の骨を混ぜてほしい”
 そう娘たちに頼もうと考えていたと明かす

 朝日新聞の短歌・俳句のページの
 「私の好きな歌」というコラムに
 米沢さんは
 与謝野晶子の歌を取り上げている

 “物売りにわれもならまし初夏のシャンゼリエの青き木のもと”
 晶子が夫の寛氏を追ってパリに赴いたときの歌

 米沢さんは
 自分がロンドンまで留学中の夫を追って来たこと
 ロンドンで二人で過ごした日々のことを思い出し
 この歌に共感したのだろう

 “ほととぎす嵯峨へは一里京へ三里水の清滝夜の明けやすき”
 
 “京都の北にある緑濃き清滝の夏の夜明けが浮かび上がり
 すがすがしさに心が温まる”と書く

 “ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟われも雛罌粟”
 与謝野鉄幹と晶子夫妻を主人公として書いた
 渡辺淳一さんの小説『君も雛罌粟われも雛罌粟』の
 題名のもととなった歌
 “色が印象的な歌の例である”という

 晶子の生き方がすべての歌の中に在る
 歌の中に反映されている
 そうだからこそ
 米沢さんは自分自身の生き方と重ねながら
 与謝野晶子の歌を「好きな歌」として
 大事にしたのだろう

 「歌に励まされ 真摯に生きる」
 そんな米沢さん自身の生き様が胸に染み入る
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by hai-toku | 2012-12-05 16:36 | 読書 | Comments(0)