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KONMU(ねなし草)

九冊目の歌集『歩く』

 歌人の河野裕子さんの九冊目の歌集が『歩く』である
 この『歩く』で河野さんは宇治市の紫式部文学賞を受賞している

 もっともご本人は
 この歌集で第六回の若山牧水賞も受賞していることの方が
 印象深かったのかもしれない

 なぜなら
 若山牧水賞の第三回の受賞者が
 夫の永田和弘さんであったからだ

 前年の秋に
 河野さんは乳癌の手術を受け
 “そのあとしばらく
 歩く力が戻らなかった”という

 だから
 “歩くということが
 どんなに大切なことであるかをしみじみと感じていた”と
 記している

 迷わず
 歌集のタイトルは『歩く』にしたという
 “タイトルに励まされながらまとめた歌稿”だという

  ゆっくりと 治ってゆかう 陽に透けて 横に流るる 風花を吸う
 『歩く』に収められた一首
 「ゆっくりと」という<ことば>が
 河野さんの気持ちを表している

 手術後九年目の歌
  いつまでも 伴侶で居られる 筈もなし 手術後九年が そおっと過ぎた

 “人間には生涯にただ一度という出会いというものがあり・・”と
 女人高野室生寺に訪れた際に
 「出会い」についての心境を
 そう表現する
 
  みほとけよ 祈らせ給へ あまりにも 短きこの世を 過ぎゆくわれに
 “人がこの世に生きられる時間はあまりにも短い
 それを思わないではいられない
 六十余年を生きてきただけのわたしの実感である”
 そんな河野さんの一首である

 河野さんが遺したエッセイをまとめた
 『わたしはここよ』(白水社)という本を読んだ

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by hai-toku | 2017-03-19 18:58 | 読書 | Comments(0)

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