あ~インタナショナル(5)

 ぼくはそのぷっくりふくれた頭に
 つばをつけた右手をやって
 そろりそろりとまじないをしました
 それだけでは終わりません
 ぼくの左足のひざ小僧は足首の代役をつとめ
 おもいきり地面にあたったものですから
 こちらの方は赤い血がふき出していました
 ぼくは何ともいえない気持ちになって
 というのは
 ぼくは血を見るとますます痛みを感じる方ですので
 ですからぼくはとても恥ずかしくて
 形容しがたい顔つきになっていました
 でも
 この苦しい実験の結果
 ぼくはとにかくマジック・ミラーの前に立っているということを
 確認しました

 「あなたはこれを馬鹿馬鹿しいと仰るのですか」
 ぼくは後ろをふり向きぎわに
 少々相手を怖がらすために
 わざと半音高くこう言って
 何もない空間を指さしました
 
 ぼくの手は何もない空間を指さしています
 でもぼくはそれに何の不自然さも感じませんでした
 ぼくはマジック・ミラーに無数の目を感じていましたし
 ぼくの後ろで何かが笑い合っている声を聞いていたからです

 「あなたはそうしてぼくを笑っていますが
 あなたは本当に
 あなたがそこに存在していると思っているのですか」

 ぼくは多少優越感にみちて
 その姿なき相手に言いつづけました
 ぼくの左足のひざ小僧からは
 まだ血がにじみ出ているようです
 ぼくはそのことに満足でした
 そのことはますますぼくの確信を揺るぎないものにしたからです
 
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by hai-toku | 2011-10-30 10:32 | 童話でない童話 | Comments(0)