上野千鶴子「生き延びるための思想」を読む

 東京大学での最終講義のテーマが「生き延びるための思想」である
 今年の3月で東京大学大学院の教授を退官した上野千鶴子さんが
 7月9日に東京大学で行ったもの

 この講義の内容が『文學界』の9月号に掲載された

 実はこの講義
 3月15日に予定されていたが
 東日本大震災の直後とあって中止され
 当初予定されていた「不惑のフェミニズム」のタイトルを変えて
 行われたものである

 ウーマンリブが学問の世界に入ったものが「女性学」であるとして
 井上輝子さんの「女の 女による 女のための学問研究」
 という定義を紹介している

 上野さんは
 「女性学」を「フェミニズムのための理論と研究」という
 それでは「フェミニズム」とは何か
 それは「女性解放の思想と行動」と定義づけています

 上野さんは「男女共同参画」という言葉については
 こう言っています
 “「男女共同参画」というのは
 男女平等」とりわけ「平等」という言葉が大嫌いだった
 当時の政府・財界・与党に配慮して
 官僚たちがつくった行政用語”だと
 だから“使わない”と

 上野さんの問題意識の深化
 主婦研究者→「家父長制と資本制」
 国家→「ナショナリズムとジェンダー」
 ケア→「協」「選択縁」
 当事者主権→「ケアの社会学」

 これも印象に残る話
 学生からのこんな質問
 「先生 問題って何ですか?」という問い
 その答え
 「問題って あなたをつかんで放さないもののことよ」

 問題から離れられない
 このような人が「当事者」であるということ

 「津波てんでんこ」の話
 “「波がきたら
 他人にかまっちゃいられないから
 各自てんでんばらばらに逃げなさい」
 「自分の命は
 自分の責任で守りなさい」という意味だと聞いた”
 
 「逃げよ
 生き延びよ」の思想も「津波てんでんこ」と同じもの
 と考えたら“私は心が凍りました」”
 災害弱者と呼ばれる人びとのこと・・
 
 <弱者>
 “誰かに支えてもらわなければ
 自分の生をまっとうすることができない”
 <弱者>が<弱者>のまま尊重される社会をつくろう
 それが<フェミニズム>の思想

 “生き延びるためにこそ
 言葉と思想を必要とする”
 “私は私の前を歩いた女たちから
 その言葉と思想を受け取ってきた
 このバトンを受け取ってください”
 そういう趣旨で講演は締め括られている

 <言葉>と<思想>
 そして何より<行動>か
 全体を通してのメッセージだ
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Commented by ちびめる at 2011-11-18 22:13 x
konmuさん、こんばんは。
今から20年以上前、ワタシが大学3年生のとき・・・
確か20歳の誕生日プレゼントとして母から届いたのが、
上野千鶴子さんの本でした。
懐かしく思い出し、またそのときの母の気持ちに思いを巡らせています。
思い出させてくださって、ありがとうござました。
Commented by hai-toku at 2011-11-19 09:31
ちびめるさんへ!! 20歳の誕生日のプレゼントの本 上野さんのどんな本だったのだろう・・素敵なお母さんですね。そのお母さんの気持ち ちびめるさんはしっかり受け止められたのですね。今、『上野先生・・』(光文社新書)を読んでいます。『ケアの社会学』もぜひ読んでみたい一冊です。私が小学生の頃プレゼントされた本は『アンクル・トムの小屋』今でも心に残る一冊です。
by hai-toku | 2011-11-16 16:56 | 読書 | Comments(2)